シャギリ・長浜囃子保存会

シャギリの音色

 囃子は長浜曳山祭では「シャギリ」と呼ばれ、笛・太鼓・締太鼓・摺り鉦を用いて、曳山の亭(ちん)と呼ばれる2階の楼閣部分の中と曳山の周りで演奏されます。祭りでのシャギリ演奏の歴史は1792年(寛政4年)に遡ります。当時の地誌には「シャギリをはやす」の記述があり、この頃には既に行われていました。構成人員は太鼓と締太鼓両方と摺り鉦が1人、横笛が4~5人から10人以上のところもあります。
 囃子の本来の役割は神霊を取り憑かせた依代を動かすためのものであり、長浜曳山祭においても曳山につくシャギリは曳山が動く際には必ず演奏されます。シャギリには曳山が動いている時に演奏する曲のほか、曳山の据え付け時、狂言(歌舞伎)の開始前と終了後、祭り当日に関係者を起こしてまわる時など、それぞれの場面に応じて演奏する曲が伝わっています。大きく分ければ曳山の曳行に関する曲と狂言(歌舞伎)の進行に関する曲の2種類に分けることができます。
 かつては、山組の大人の他に近郊農村部に在住する人々がシャギリの担い手となり、曳山祭にはそれらの人々が招かれてシャギリを吹いていました。戦後その慣行が途絶え、1971年(昭和46年)に長浜曳山祭囃子保存会が結成されてからは、子どもたちを募集するようになり、担い手は主に山組の子どもたち(小中学生の男女)になりました。シャギリの稽古は各山組で子どもたちを集めて週1回土日の夜に行われており、週末の夜になると1年中まちのどこかでシャギリの音を聞くことができます。

長浜囃子保存会

 長浜囃子保存会は、長浜曳山祭のシャギリの保存と各山組に伝わる独自の曲の調査と後継者育成を目的に活動をはじめ、シャギリの五線譜化や子どもの囃子方の育成をはかっています。それまで口伝で行われていたシャギリを採譜したことで、伝承者の記憶が頼りだったシャギリを後世に残せるようになりました。

 曳山博物館では長浜曳山祭で演奏される囃子を収録したCD(長浜囃子保存会制作、1,200円)を販売しています。収録曲は全部で22曲(収録時間72分)あり、代表的な曲から各山に伝わる独自の曲も収録しています。販売は曳山博物館の物販スペースで行っています。

長浜曳山祭囃子の代表的な曲

曲名 演奏場面
御遣り

(おひやり)
曳山の曳行時に演奏される。
神楽

(かぐら)
長濱八幡宮、御旅所入場時、狂言終了後に演奏される。八幡宮・御旅所 に入る際には「神楽の出」と呼ばれる特別な前奏部が追加される。
戻り山 曳山が御旅所から各町に戻る際及び16日の自町狂言で演奏される。他の曲に比べてテンポが速い。
奉演間

(ほえま)
ゆったりした曲で狂言が始まる前に演奏される。また曳山が所定の位置に着いた時に1段のみ演奏される(「おちつき」と呼ばれる)。
出笛 狂言開始を告げる曲。1人で吹く。
起こし太鼓 祭り関係者を起こしてまわる曲。深夜に各町内をまわる際に吹く。山組によって曲が異なる。

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