企画展・特別展

なつかしの長浜曳山祭

 長浜曳山祭には古くからの歴史があり、古文書や絵図などさまざまな歴史資料の中にその様相が記録されてきましたが、特に近代以降になってカメラが暮らしの中に導入されるようになると、曳山祭の様子を撮影した写真が残されるようになりました。そうした写真には、曳山祭の様子はもとより、それに携わった人々の表情や、曳山が曳行されるマチの風景などが写されており、懐かしさと共に往時の記録としても貴重な資料となっています。
 曳山博物館では、そうした写真に撮られた長浜のマチの様相をパネルにして紹介する企画を催すことにしました。その第一弾として、「なつかしの長浜曳山祭」と題する展示を開催します。昭和天皇が長浜に行幸された際に全ての曳山が長浜小学校に終結した時の様子(昭和26年)や、NHK朝の連続ドラマの撮影で曳山が出場した様子(昭和54年)、映画「寅さん」のロケ(平成6年)の風景など、当時の様相を懐かしんでいただければ幸いです。

企画展情報

開催期間:
平成22年5月22日(土)から7月22日(木)まで
会場:
長浜市曳山博物館2階エントランスほか
開館時間:
9時~17時(入館は16時30分まで)

主な展示資料

1.長浜祭の神輿還御の様子(大正4年)

 大正4年(1915)に撮影された長浜曳山祭の御旅所での風景。神輿が還御する直前の様子で、曳山の間を縫って榊を持った一行がすすんでいる。当時はまだ全ての曳山が出場しており、御旅所周辺の景観も樹木があるなど今とは違っている。人の影が東に伸びていることから、時刻は夕方であろうかと思われる。

 

2.昭和天皇の行幸を迎える長浜の曳山(昭和26年)

 昭和26年(1951)11月16日、昭和天皇が長浜に行幸され、そのお出迎えのために長浜小学校の校庭に奉迎場が設けられ、長浜祭の曳山が曳き出されて集結した。長浜の曳山が横一列に全山整列することは珍しく、行幸の前には多くの見物人が訪れた。行幸では、人々が各団体ごとに曳山の左右に整列して昭和天皇を出迎えた。

 

3.大手通り金屋席付近をゆく常磐山(昭和37年)

 昭和37年(1962)4月15日の曳山祭の本日の様子を撮影したもので、写真は大手通りを西へと進む常磐山。常磐山は一番くじを引き当てたので三番叟が乗っている。当時はまだ大手通りにはアーケードがなく、商家の屋根も異なっている。写真は金屋席の付近で撮られたもので、曳山の後方に見えるレンガ造りの建物は銀行である。同地は現在金屋公園となっている。

 

4.御堂前の通りをゆく萬歳樓(昭和46年)

 昭和46年(1971)4月15日の曳山祭本日の様子で、大手通りを御旅所へと向かう萬歳樓を撮影したもの。撮影場所は金屋席の角で、御堂前の通りと大手通りとが交差するところである。当時はまだ御堂前の商店街にアーケードの屋根がかかっており「御堂筋」の看板が掲げられている。曳山の亭の前には巨大なスピーカーが搭載されているのも興味深い。

 

5.NHK朝の連続ドラマ「鮎のうた」撮影風景(昭和54年)

 昭和54年(1979)10月1日から翌年4月5日までの半年間にわたって放送されたNHK朝の連続テレビ小説「鮎のうた」は、主人公のふるさとが長浜ということで曳山祭のシーンが撮影され地元の話題を呼んだ。撮影は7月で、猩々丸と高砂山が曳行された。舞台は昭和初期であったので山組の皆さんは羽織袴に当時の衣装であっ帽子をかぶって、夏の撮影にもかかわらず熱演された。

 なお、今回紹介する写真は長浜市史編さん事業(平成5年から平成16年まで)によって収集された資料を元にしています。ご協力いただいた市民の皆様に深く感謝いたします。