企画展・特別展

歌舞伎からみるお江の時代

【開催趣旨】

 曳山博物館はおかげをもちまして開館10周年を迎えました。これを記念して一年間を通しておおくりする特別展「歌舞伎からみるお江の時代」を開催いたします。今回の特別展は、長浜市域一帯で繰り広げられる「江・浅井三姉妹博覧会」の関連企画でもあります。

 浅井三姉妹三女のお江の生きた時代は、出雲の阿国らによって歌舞伎踊りが創成された時代でもありました。戦国乱世から安定期へと世の中が移りゆく中で、人々が時代の気風に傾(かぶ)き、自らの生を大いに楽しもうとした時代でもあったのです。

 特別展「歌舞伎からみるお江の時代」では、お江の時代の世相の中から生み出され、やがて長浜曳山祭の子ども歌舞伎へとつながる四百年以上にもわたる歌舞伎の世界を、一年間を通してダイナミックに紹介してゆきます。

【おもな見どころ】

 ○初日の平成23年1月15日(土)には、午後1時30分からオープニングセレモニーをおこないます。テープカットと共に三番叟の演技とシャギリの演奏が開幕を盛り上げます。

 ○会期中、曳山博物館の正面は江戸時代の歌舞伎小屋風に変身します。屋根には大歌舞伎の開催を示す櫓(やぐら)が登場し、幟や掛け看板がみなさまをお迎えします。

 ○館内には、歌舞伎の世界を体感できる歌舞伎ロードがオープンします。江戸初期に歌舞伎踊りの様子を描いた風俗図を拡大展示するほか、絵の中の歌舞伎踊りの人びとを等身大で再現し、臨場感あふれるお江の時代の歌舞伎の世界で魅せます。

 ○「歌舞伎からみるお江の時代」では、一年間の展示期間中に4回の特別出品展示を行ないます。江戸初期の歌舞伎の姿を描いた風俗図屏風や、歌舞伎に欠かせない楽器である三味線の江戸期の貴重な逸品、大歌舞伎の舞台で活躍した名優たちのゆかりの品などを、期間ごとに展示公開いたします。

企画展情報

開催期間:
【通年】平成23年1月15日(土)から12月4日(日)まで
会場:
長浜市曳山博物館(長浜市元浜町14-8/TEL: 65-3300)
開館時間:
9時~17時(入館は16時30分まで)
入場料:
大人600円・小中学生300円(団体は20名様以上で各2割引)
なお、歌舞伎ロードは無料でご覧いただけます。

【特別出品展示】

1.三味線があって歌舞伎があった-三味線発達史- 

    会期:平成23年2月19日から3月21日まで

2.華麗なる近世風俗図屏風の世界 

    会期:平成23年4月23日(土)から5月22日(日)まで

3.初代鴈治郎がやってくる-成駒屋!- 

    会期:平成23年7月23日(土)から8月28日(日)まで

4.阿国の登場-歌舞伎文化の発祥と展開- 

    会期:平成23年10月1日(土)から10月30日(日)まで

パンフレットダウンロード

ファイル種類:PDF  サイズ:655 KB

主な展示資料

1.歌舞伎ロードの風俗図

 今回歌舞伎ロードで再現する江戸初期の歌舞伎の風景は、「阿国歌舞伎草子」(大和文華館蔵・重要美術品)や「四条河原遊楽図屏風」(天桂院蔵・愛知県指定文化財)、「野郎歌舞伎図屏風」(大寶寺蔵・福井県指定文化財)など、江戸初期に描かれた風俗図をもとに構成します。中でも「阿国歌舞伎草子」には、歌舞伎踊りの始祖とされる出雲の阿国とそのパートナーとして当時絶大な人気を誇った傾(かぶ)き者、名古屋山三郎の姿が描かれており、お江の時代の気風を残す往時の様子がしのばれます。


阿国歌舞伎草紙(江戸時代初期・大和文華館蔵)
舞台中央が出雲の阿国で、その向かって右が名古屋山三郎である

 

2.歌舞伎小屋の櫓(やぐら)について

 曳山博物館の正面の上部にしつらえられた櫓は、江戸時代には幕府などお上の公認の大芝居であることを示す証でした。当時最も派手で魅惑的な芸能であった歌舞伎は、世相風俗に大きな影響を与えることから、常に幕府の統制を受けていたのです。歌舞伎小屋正面入り口の上に櫓を建てて、そこに万幕を張り毛槍を立てるという様式は、江戸時代初期の風俗図などには既に見らます。その系譜は今も続いており、現在の歌舞伎座や南座などにも、この櫓がそなえられているのです。


曳山博物館正面の櫓

 


四条河原遊楽図屏風
(江戸時代初期・天桂院蔵・愛知県指定文化財)
歌舞伎小屋入り口の上に万幕におおわれ毛槍を立てた櫓が見える。