企画展・特別展

「曳山模型と図面勢ぞろい展」 &〈長浜オールウェイ図展〉

 全国にある山車の数は、数千ともいわれ、そのかたちも呼び方も様々です。それは近江という地域から見ても同様で、長浜の子ども狂言(歌舞伎)、日野の飾り山、大津のカラクリ山などそれぞれ特徴を持つ曳山文化圏を形成しているのはご存知の通りです。

 さて本展示では長浜の曳山と形態を同じくする舞台付き曳山、すなわち芸山を集めてみました。これらの芸山は、長浜から派生したという伝承を持つものが多くみられますが、地元の文化と融合して独自の展開を示すようになります。ここではそのメカニズムも見ていただけるように精密な曳山図面も展示してみました。また自然の山から据え置きの山に、そして長浜の曳山に見られるように移動する曳山へと移り変わっていくようすも一つの事例として見ていただけます。また長浜の今昔を市民サロンにて古写真で紹介します。

 本展示を通じて人々の誇り、心の支えとして今を生き続け、限りなく成長していく曳山の実像に触れていただければ幸いです。

展示テーマ

曳山博物館夏休み企画展示「曳山模型と図面勢ぞろい展」&

〈長浜オールウェイ図展〉

企画展情報

開催期間:
平成25年7月29日(月)~9月8日(日)
開館時間:
9時~17時(入館は16時30分まで)

主な展示資料

○曳山の成立–自然の山から置山そして曳山へ–

三ッ山模型
1組
射楯兵主神社
20分の1
波々伯部神社例祭の御山
1基
兵庫県立歴史博物館
71.0×60.0
大津曳山祭の曳山模型(桃山)
1基
愛荘町立歴史文化博物館
68.0×54.5
日野曳山祭の曳山模型(八景閣)
1基
愛荘町立歴史文化博物館
59.6×48.0
長浜曳山祭の曳山模型(翁山)
1基
愛荘町立歴史文化博物館
80.0×42.0

 

○各地の芸山–いつも長浜がターミナルだった–

長浜曳山祭の青海山山蔵付き模型
1基
本館蔵
53×40
揖斐川曳山(車へんに山)祭の高砂山(車へんに山)模型(上町)
1基
窪田正巳
70×60
揖斐川曳山(車へんに山)祭の竜宮山(車へんに山)模型(上新町)
1基
窪田正巳
70×69
揖斐川曳山(車へんに山)祭の住吉山(車へんに山)模型(中町)
1基
窪田正巳
70×69
揖斐川曳山(車へんに山)祭の鳳凰山(車へんに山)模型(下町)
1基
窪田正巳
77×60
揖斐川曳山(車へんに山)祭の市山(車へんに山)模型(下新町)
1基
窪田正巳
70×60
高山祭の山車
1基
窪田正巳
70×39
大垣祭の曳山(菅原山)
1基
窪田正巳
52×57
垂井曳山(車へんに山)祭の曳山(車へんに山)(紫雲閣)
1基
窪田範子
75×40
濃州垂井駅紫雲閣山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
85.0×90.0

 

○芸山図面の世界–描かれた曳山–

田町組山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
70.0×65.5
伊部町組山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
65.5×87.0
長浜魚屋町組山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
82.5×73.5
宮町組山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
60.0×44.5
呉服町組山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
80.0×65.0
垂井山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
79.0×138.5
米原行山建地割図
1枚
藤岡和泉家大工資料
73.0×64.5

 

○提灯ケース

各地の山車玩具(朏(みかづき)コレクション)
12点
京都府立総合資料館

 

以上34件
 
 
 

講演会「姫路城下町の山祭りー三つ山神事の事例からー」

開催日 平成25年8月24日(土)13時30分~

講 師 兵庫県立歴史博物館館長補佐 小栗栖健治氏

聴講料 無料

場 所 曳山博物館伝承スタジオ

 

長浜オールウェイ図展

長浜の古写真から昭和30年代当時の日常のくらしを偲びます。出展枚数は20点程度です。町中を通る曳山の姿も見られます。

主な出陳資料

三ツ山模型 一組

平成24年

射楯兵主神社

平成25年の三ツ山大祭にあわせて造られた実物20分の1のひな形。

三ツ山は、東の山は二色の木綿を巻くことから二色山、中の山は五色の

木綿を巻くところから五色山、そして西の山は色とりどりの小袖を飾りつけるところから小袖山と呼ばれている。小袖山は市民から寄進された小袖によって制作される習わしである。なお小袖山の胴部には巨大な百足が巻き付いており、近江三上山俵藤太百足退治伝説が広く喧伝されていたことが推察される。

 

長浜曳山祭の青海山山蔵付き模型

現代

本館蔵

長浜八幡宮の祭礼に登場する13基の曳山のひとつ、青海山の模型。

長浜の曳山は長刀山を除いて4輪車で、舞台を持つ芸山形式である。舞台は豪華な飾り金具を施した前柱、重厚な唐破風の屋根を持つ造作の上でも完成度の高いもの。長浜型芸山は滋賀県内では米原、県外では岐阜県や福井県そして富山県にまでその影響が認められる。

 

揖斐川曳山(車へんに山)祭の曳 模型 5基

現代

窪田正巳製作、所蔵

揖斐川祭に曳き出される5基の10分の1模型。岐阜県揖斐郡揖斐川町

では長浜と同様子ども歌舞伎の奉納が5月4~5日におこなわれる。本日は 本楽と呼ばれ、町中を三味線の先導で男女の子どもたちが歌舞伎装束 で練り歩く。三輪神社に着くと境内に曳きこまれた5基の曳山(車へんに山)の内の1基に乗り移り、芸を披露するのである。揖斐川の曳山(車へんに山)は伝承によると、長浜の古い山を買い求め、これを見本として、地元の大工が完成させたという。 今回、揖斐川の名工窪田氏による5基勢ぞろい模型がはじめてお目見えする。

 

垂井曳山(車へんに山)祭の紫雲閣模型

現代

窪田正巳製作、所蔵

岐阜県不破郡垂井町の垂井祭に曳き出される3基の曳山(車へんに山)

のひとつ、紫雲閣の11分の模型。中仙道の宿場町垂井(岐阜県不破郡垂井町)には現在、3基の曳山(車へんに山)が子ども歌舞伎とともに伝承されており、毎年5月2~4日に曳山(車へんに山)神事をおこなう。曳山(車へんに山)が完成したのは安永時代(1772~80)になってからといわれ、稚児歌舞伎の台本からその時期を推量できる。現存する山(車へんに山)は、3基、その中でも紫雲閣は、明治3年9月、当時166俵分の大金を費やし長浜の藤岡和泉によって大改造したものである。垂井の山(車へんに山)は揖斐川同様、長浜と歴史的に深い関係を持っており、現在では長浜の三役修業塾生が祭に招聘され腕を奮っている。揖斐川の曳山(車へんに山)と同様、窪田氏の制作によるもの。

 

濃州垂井駅紫雲閣山建地割図

明治3年(1870)頃

藤岡家大工資料

明治の亭増設時の際、最初に描かれた縮尺10分の1程度の色彩図面。

亭最上部の屋根が図面では入母屋造りになっているが、現在は宝形造と

大きく異なる。なお垂井紫雲閣は、旧山を室原(養老町)に売却したのち、

文政年間(1818~30)に山を建造した。これに明治3年、米にして166俵の

金額で請負、藤岡和泉が大改造を加えたのが現在の曳山(車へんに山)

である。

 

垂井山建地割図

明治3年(1870)頃

藤岡家大工資料

色彩図面のあとで検討を加えより正確な図面 として仕上げられた

10分の1程度の単色図面。全容は現在の曳山(車へんに山)とほとんど

同じである。わずかに鬼板の形や下山の船木の長さなどに相違が見られる。図面裏の上部に「垂井山箱ナシ」の墨書が見られる。なお紫雲閣の彫刻製作者として坂田郡枝折村(米原町)の彫師の名がみえ、塗師も坂田郡高橋村(長浜市)の森喜兵衛による。これらは大工藤岡の裁量によるものだろう。

 

朏(みかづき)コレクション

京都府立総合資料館(京都文化博物館管理)

朏健之助氏【明治41年(1908)生~平成2年(1990)没】の収集した郷土

玩具コレクション。童画・版画家として知られる武井武雄氏との出会いに

よって収集がはじめられたという。 収集された資料の数々は京都府立総合資料館に4回に分けて寄贈され、総点数は12177点という膨大なコレクションである。特徴は収集の範囲が極めて広範であること、外国の玩具と比較ができること、伏見人形を始め京都の郷土玩具の多いのが特徴である。 今回の展示では、その中の山車関係資料を出陳している。なお現在、コレクションの管理は、京都文化博物館がおこなっている。

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